2022年夏、栃木県は日光市へ、静かな温泉旅に出かけてきました。
そういえば前の年、2021年の夏にも日光市に出かけており。
当時はいわゆる「デルタ株」の流行が深刻だった時期で、感染対策を取りつつおっかなびっくり自宅と宿との往復のみ、という温泉旅でした。
その時の、何となく宿題みたいに残っていたものを拾っていく旅ができれば、ということです。
旅の計画
2021年の夏に栃木県日光市へ温泉旅をしたとき、
- 東武鉄道のSL列車「SL大樹」に乗る。
- 宇都宮の街で、宇都宮餃子を食べる。
この2つを断念しました。
SL列車は観光客で密になるかな・・・とか、餃子は外食だからな・・・とか、そういう心配をして、取りやめたのです。
今回はその2つを叶えることにしました。
もちろん感染症は今も収まっているわけではないです。ただ、2021年の夏に比べれば、状況は改善していると考えたのです。
それで、JR線から東武線に入って栃木県を目指す特急「日光」と、宇都宮から東京に戻る東北新幹線「なすの」を予約。
さいわいなことに、両方とも割引きっぷの「トクだ値」が取れました。
宿は、日光市の川治温泉を久しぶりに予約。10年前に泊まったことのある宿が、経営が変わって営業を続けているのを見て、再訪してみようと思った次第。
こちらも「県民割」で安く予約できました。
1日目(新宿→下今市→鬼怒川温泉→会津高原尾瀬口→川治温泉)
下今市へ(特急日光)
朝早くに新宿駅へ。今回乗る特急「日光」は7時台の出発です。
朝ごはんがまだで、お腹がすき気味だったのですが、特急「日光」が出発するホームには売店がなく、売店までもかなり歩くので、あきらめて乗車。
特急「日光」は静かに発車し、池袋、浦和、大宮と主要な駅に止まっていきます。
この列車が珍しいのか、停車駅のホームでスマホを構えて列車を撮っている人をちらほらと見かけました。
最初は空が曇っていたのが、大宮駅を出たあたりから晴れてきます。
特急「日光」は最初はJR線内を走りますが、途中で東武線の線路に入ります。そのあたりからまた、曇り空に。
車内は空いていますが、近くに子供連れのご家族がいて、その辺りだけにぎやかです。
列車は栃木県に入り、黒毛の牛が寝そべっているのを何度か眺めていると、終点の1つ手前、下今市駅に着きました。ここ下今市でいったん降ります。
鬼怒川温泉へ(SL大樹)
今日は、ここ下今市から「SL大樹」という列車に乗るつもりです。蒸気機関車が引っ張る人気の列車で、座席指定券は既にネットで購入済み。
先ほど乗っていた特急「日光」を見送ってからすぐ、SL大樹がゆっくりと下今市駅のホームへと入ってきました。
小柄な蒸気機関車の後ろには、昭和時代に走っていたような、青い客車がくっついています。
席を取っていた車両も古いものでしたが改装されていて、車内は新しくなっていました。それでも雰囲気は昭和感。
さて、SL大樹は下今市の駅をゆっくり出発。駅のホーム、沿道、スタッフさんや地元の方々が、こっちに手を振っています。
車内には何人かのアテンダントさんが乗務されていて、指定席券の確認や、沿線の案内、グッズの販売などなど、動き回っています。
一眼レフを持ったスタッフさんに声をかけられます。写真撮影のサービスなのだそうですが、一人で写ってもな・・・と、ごめんなさいをしました。
SL大樹の走る東武鬼怒川線はローカル線で、特急電車もゆっくり走る区間です。SL大樹はそれ以上にゆっくりとした走り。
それでも、終点の鬼怒川温泉駅に着いたときは、あ、もう着いたんだ・・・とちょっと思いました。
龍王峡へ(電車と徒歩)
鬼怒川温泉駅で一度改札を抜けて、窓口で野岩鉄道の1日乗車券を買います。
まだ午前中で時間も余っているのですが、特にどこへ行こうとかを決めておらず。1日乗車券を買っておけば、好きなように乗れるかなと。
次にやって来た東武線の普通列車で、2つ先の新藤原駅が終点です。この先は会社が変わり、野岩鉄道線に入ります。次の電車は1時間後。
新藤原駅の周りには家があるくらいで、お店などはないようです。それで、1つお隣の龍王峡駅まで歩くことに。
蒸し暑い中、車の往来がそこそこある国道をゆっくり歩いていき、20分ほどで龍王峡につきました。
ここ龍王峡は鬼怒川に沿った渓谷で、観光名所になっています。広い駐車場の周囲に、お土産屋さんや飲食店が並ぶ、ザ・観光地。
次の電車の時間まで龍王峡を散策するのはちょっと難しそうで、並んでいるお店を眺めてふらついていると、茶屋の前で声をかけられ、中へ。
そう言えば、先ほどSL列車の中で聞いた観光案内で、この暑い季節は、日光の天然氷で作ったかき氷が美味しいです、と聞いたのを知り、頼んでみました。
注文すると、お通しにみょうがが出てきました。かき氷の前にみょうがってどうなんだろうと思いつつ、口の中がさっぱり。
その後出てきたかき氷、大きい! そしてふわふわしている。暑い中1駅分歩いてきたのですが、ようやく汗が引いた感じ。ごちそうさまでした。
野岩鉄道の旅
龍王峡の駅は駐車場の端にあります。駅員さんに一日乗車券を見せて、長い階段を降りて駅のホームへ。野岩鉄道は、ちいさな駅でも駅員さんがいます。
やってきた列車は、浅草からの特急「リバティ会津」。特急ですが、野岩鉄道線内は特急券がなくても乗車できます。快適な車内で、しばしくつろぐ・・・
特急列車は、トンネルを高架橋を抜けて川治温泉駅、川治湯元駅と停車し、トンネルの中にある湯西川温泉駅を出ると、鉄橋を渡って森の中へと入っていきます。
森を抜け、いくつかの駅に停車し、そのた先の会津高原尾瀬口駅でリバティを下車。列車はこの先、会津鉄道線に入って、会津田島駅まで向かいます。
9年ぶりの会津高原尾瀬口駅。何度か、尾瀬を歩くのに利用したことのある駅です。
尾瀬へ向かう登山者風のお客さんが数名、そのまま路線バスへ乗り換えていました。
次に乗る電車まで1時間ほどあるので、駅に併設されている観光物産館「憩の家」へ。
結局朝ごはんは食べておらず、これまで食べたのは、みょうがとかき氷。そこで、ここでお昼をいただくことにしました。
メニューを見ると、ラーメン、そば、うどん、カレーという感じだったので、ざるそばを注文。このあたりでよく出てくる「裁ちそば」だったようです。
お土産用に地酒などを少し買って、のんびり過ごしていると小雨がぱらついてきましyた。階段を上がって駅の改札をくぐり、ホームのベンチへ。
今度はここから引き返して、今日の宿がある川治温泉方面へ向かいます。また特急リバティがやってきました。
今度のリバティは浅草行き。指定席は満席とのことですが、まだこの時点では空いています。
今日泊まる宿の最寄り駅、川治湯元駅で下車。チェックインの15時まで1時間ほどあるので、暑いのですが、川治温泉を散策してみるつもりです。
川治温泉
国道に沿って坂を下っていくと、温泉街を横切る男鹿川。
コロッケが有名なお肉屋さんでコロッケをつまんで休憩します。そのまま温泉街のはずれまで散歩。
コンビニはありませんが、ぼちぼちとお店はあります。川治温泉は確か6年ぶりの訪問だと思うのですが、少しお店の数は減ったかもしれません。
酒屋さんで地酒とおつまみを買って、喫茶店に寄ってアイスコーヒーを飲んでから、男鹿川沿いを歩いて、今日の宿へとチェックイン。
この宿へは10年ぶりの宿泊ですが、その間に経営者が2度変わったようです。それでも雰囲気は変わっておらず、少し懐かしく。
館内はきれいに保たれていて、快適でした。
少し前に大雨が降って温泉の設備が一時的に使用できなくなったそう。今は復旧しているものの、最近は夏の大雨が年々激しくなっていますね。。
温泉はぬるめで、暑い夏にはちょうど良かったです。無色透明で特徴のなさそうなお湯だと思いつつ、浴後はしっかり汗が出ました。
2日目(川治温泉→下今市→今市→宇都宮→東京)
6050
2日目の朝です。朝食の後コーヒーを飲んで、10時に宿をチェックアウト。
川治湯元の駅に戻ると、前の日に温泉宿に泊まったとおぼしきお客さんが結構いて、窓口できっぷを買うのに列ができています。
駅できっぷを買うのに並ぶ、というシチュエーションが久々。
少々並んでから、きっぷを買ってホームに上がってしばらくすると、古びた電車がやって来ました。昭和時代にデビューした、6050系と言う電車です。
少し前までは珍しくなかった電車ですが、今はその多くが引退し、主に野岩鉄道でしか走っていません。
車内放送のくぐもった声、黄ばんだ照明、赤いボックスシート。
終点で次の東武線の電車に乗り換えます。今度は、かつて都内を走っていた、もと通勤電車の車両でした。
その電車を下今市駅で降ります。今日はここから、県庁所在地の宇都宮まで向かうつもり。
東武の下今市駅から少し離れたところに、JRの今市駅があり、そこからJR日光線で宇都宮駅に出られます。
歩いて10分程度の距離だということで、すたすた歩いてJRの駅へ。すたすた、というのは、JRの電車に乗り遅れる可能性があったから。
何とか、JRの電車が来る少し前に駅に到着です。新しい電車がやってきました。まどろんでいると車窓は徐々に家が増えて、宇都宮市に入っていました。
ぎょうざ
宇都宮駅に着くころは電車は結構混んでいて、駅でどっと人が降りていきます。
ここ宇都宮に来たのは、久しぶりに宇都宮餃子を食べようと思ったから。
いつもは時間の都合で、駅ビル内のお店や駅から近いお店で餃子を食べていました。
今回は、駅から少しだけ離れた、宇都宮餃子会がやっている「来らっせ」を目指します。複数のお店の餃子の食べ比べができる施設です。
駅前のロータリーから、バスに乗車。地方都市のバスは利用方法や行き先がよく分からないものの、何とか間違えず乗れました。支払いにSuicaが使えます。
エスカレーターを下って「来らっせ」へ入ると、ちょうどお昼なので少し混んでいて、LINEのアプリで順番待ち。
それでも数分で席が空き、すぐ入ることができました。せっかく来たので、いくつかのお店の餃子を食べ比べてみます。
運ばれてきた餃子は熱いけれど美味しく・・・おかわりを。
今回の旅のまとめ
2021年の夏にできなかったことをする、をテーマに、栃木県に再訪してきました。
初日に乗ったSL大樹はなかなか繁盛していました。
走っている区間はさほど長くはないので、観光で来たときは、特急などを下今市駅で降りて、そこから鬼怒川温泉まではSLで、というのも楽しいですね。
川治温泉へは、野岩鉄道で行きました。
もともと観光客の利用が多い鉄道ですが、2020年以降の感染症の流行が経営面で絵帰郷しているのか、2022年に本数が大幅に減便されてしまっています。
時刻表を確認しつつ、栃木県への温泉旅で利用していければ。
宿泊した川治温泉は、有名な鬼怒川温泉と湯西川温泉の間にあり、少し地味な存在ではあります。
ただ、お湯は比較的ぬるいのでゆっくり入れますし、静かに過ごせるのと鉄道でのアクセスの良さから、結構穴場的な存在なんじゃないかなと、個人的には思っています。
さて、今度はどこへ行こうかな。